髪の毛のダメージについて【3】
さて、番外編のほうもひと段落したところで本編のほうも続きを書かせて頂きたいと思います。
前回の記事も合わせてお読み頂くとより分りやすいかと思います。
マトリックスから奥の方のダメージ
前回、コルテックス領域までのダメージについて説明させて頂きましたが、今回はマトリックスの部分について解説させていただきます。
コルテックスというのマクロフィブリルが集まって出来ています。
そして、マクロフィブリルというのは、プロトフィブリルという繊維の周りをマトリックスと言う球状の小さい非結晶ケラチンで覆われているもので構成されています。
マトリックスというのは非結晶ケラチンですので柔軟性があります。
しかし、アイロンやコテの使用などで高温を当ててしまうと、熱でタンパク変性を起こしてしまいます。熱で固まってしまうわけです。
この状態になると元の状態には戻らなくなります。(よく生卵に熱をあてると目玉焼きになるが、目玉焼きを生卵に戻すことは出来ないなど言いますね。)
熱のダメージって怖いですよね。でも今の時代はたいていのお客さまがタンパク変性を起こしている状態です。
このあたりは番外編でも少し触れています。
マトリックスにダメージが見られると毛髪強度が著しく下がり、薬剤への抵抗力が少なくなってきてしまうので注意が必要です。
熱のダメージだけではなく、ブリーチやパーマの繰り返しによっても流出しやすく、髪の毛のハリや弾力がなくなってしまいます。
そして、マトリックスにダメージが出た場合、私はダメージレベルが3以上と断定してから施術に入ります。
前回までの内容と照らし合わせてまとめてみましょう。
ダメージレベル3は、
毎月カラーリングやパーマを繰り返しかけていたり、ブリーチをしたりする事で到達します。毛先が引っかかってしまったりパサついてしまいます。
スポンサーリンク
コルテックスに保湿力がほとんどない状態で、マトリックスにダメージが進んでいきます。マトリックスの変性や流出が起こり、弾力がなくなっていきます。ケラチン系のたんぱく質が必要になってきますので、ホームケア商品も出来るだけサロンで購入し、カラーリングやパーマの際はサロンでトリートメントをするのが望ましいところです。
・キューティクル・・・かなり少なくなっている。
・コルテックス・・・間充物質が流出し、マクロフィブリルに亀裂が生じる。
・マトリックス・・・タンパク変性を起こして硬くなったり、流出してしまう。
ダメージレベル4は、
ブリーチ繰り返し行うと到達します。2回以上ブリーチすると一気にここに到達する方が多いです。
マトリックスがかなり流出してしまっている状態です。カラーの色持ちも悪く、濡らすと切れやすくなります。プロトフィブリルにも損傷があります。髪を乾かすのにもかなり時間がかかります。
出来ればカットしたほうが良いですが、どうしても切りたくない方は頑張ってケアしましょう。
・キューティクル・・・ほぼないと思ってよい。
・コルテックス・・・間充物質はほとんどなく、マクロフィブリルも損傷が激しい。
・マトリックス・・・流出が激しいが、残っているものもタンパク変性を起こしている。プロトフィブリルにもダメージが進んでいる。
※ちなみに普通のブラウンや暖色系のカラーリングがきれいに出にくいです。逆にアッシュ系のカラーリングやバイオレット、ラベンダーみたいな色は出やすいです。色持ちは悪いですが。
ダメージレベル5は、
極端にブリーチを繰り返したり、レベル4くらいの方がパーマをかけたりすると到達してしまいます。ここまでくるとカットしたほうが良いです。
さらに奥の方のαーヘリックスなどもダメージを受けていきます。ドライヤーを当てるだけで切れていきますので5cmから10cmくらいはカットしたほうが良いと思います。
このダメージまで来てしまうにはかなり髪を酷使していることになるのでハイトーンのカラーリングが好きな方は美容師さんと相談しながらやれると良いと思います。
キューティクルもコルテックスもマトリックスもスカスカな状態です。もはや毛髪の構造云々ではなくなってしまいますね。
まとめ
髪の毛一本ってかなり細いのですが幾つもの層から成り立っているんですね。
今回説明させて頂いたのは、皆さんにも髪の毛って複雑な構造を持っていて、体と同じようにダメージを受けたら適切な処置が必要なんですよ、と知って頂きたかったからです。
頭痛を治したいのにふくらはぎにシップを貼っても治りませんよね?
これからもお客さまの髪の毛を大切扱っていきますのでみなさんも大切にしてあげてくださいね。
今日も最後までありがとうございました。
ご質問・ご予約はこちらからもどうぞ!
最後までありがとうございました! ご予約・ご質問はLINEからお気軽にどうぞ!